人身保護法について

過去には,家事審判法上の保全処分の規定が整備されていなかったため,子の引渡しについて人身保護法に基づく人身保護請求が利用されることもありました。

しかし,最高裁(最判平成5年10月19日民集47巻8号5099頁)は,「夫婦の一方(請求者)が他方(拘束者)に対し,人身保護法に基づき,共同親権に服する幼児の引渡しを請求した場合」に,拘束の違法性が顕著であるとして請求が認められるためには,「幼児が拘束者の監護の下に置かれるよりも,請求者に監護されることが子の幸福に適することが明白であることを要する」として,人身保護請求ができる場合を限定しました。

 

現在の実務では,別居中の夫婦間の子の監護をめぐる紛争については,第一次的に家事審判で対応する方法が定着しています。つまり,子の監護者指定の家事審判を申し立て,家事審判法上の保全処分として子についての仮の引渡しを求める方法です。
いずれにしても,子の引渡しをめぐる紛争については,早急に弁護士による適切なアドバイスを受けることが重要です。